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新英語教育研究会神奈川支部HP

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2000 阿部 一さん

■5月春の1日研修会報告 5月13日 横浜ランドマークにて 参加者:28名
●講演:「コミュニケーションを踏まえた単語・文法指導」
阿部 一さん(獨協大学教授)
◆ 英語習得法、教師論など興味深いテーマでお話いただき、楽しくためになるひとときでした。阿部先生、ありがとうございました。

(1) 問題意識
◆現場を見て感じること
・練習量が足りない
・コミュニカティブ能力(Communicative Competence)
 例)部屋の壁を見て「壁のペンキがはがれている」と言えるかどうか?
  The paint is coming off. ペンキがはがれかけている
  (阿部先生の解答。ここでのポイントはcome offという基本語彙が使えるかどうか)
  The paintユs come off. ペンキが(すでに)はがれている
  (考えられる別解。こういう現在完了が使えるといいと思うのだが…)

(2) 基本
◆2つの語彙/2つの表現
(a) Active English(運用できる必要がある語彙)
 阿部先生がピックアップした「1200語リスト」を雑誌『日経Woman』に掲載。
(b) Passive Vocabulary(知っていればよい語彙)
 ESP(=English for Special Purposes)
(c) Collocation(構文)= as ~ as / both ~ and ~ / in terms of など。
(d) 定番表現=Let's see.など。
◆growする能力=?を発展させる力
 例)部屋の壁を見て「壁のペンキがはがれている」と言えるかどうか?
 「take ノ make じゃないな、goノ comeかな?」と基本語はジェスチャーをまじえて体得できるかがカギ。The paint is coming off.につなげる。
例)「部屋の隅に傘を立てかけて下さい」と言いたいとき
  You could put your umbrella in the corner.
(わざわざstandを使わず基本語で言う)

(3) 学習法
授業では「楽しく、かつ、緊張感があると身に付く」と考えられる。阿部先生が知っていらっしゃる3つの学習法プログラム。
・1ヶ月で英語が身に付くプログラム!:このプログラムでは緊張感を出すため、例えばガラス片を撒いたところに目隠しをして立たせ、メTwo steps rightノモ のように指示して難所を歩かせる。わざとanxietyを高める(身に付きそうですが危険ですね!)
・リラックス学習法:このプログラムは演劇的要素があり、リラックスするために身体を使うが、ちょっと催眠っぽい面がある。(身に付きそうですが怪しげですね!)
・「朝から晩まで一緒」学習法:このプログラムは時間とお金に糸目をつけなければ確実 (1ヶ月100万円!)。Questioningのトレーニングを受けたプロのネイティブが質問を絶えずする。「五秒以上沈黙させたらpayが減る」という規定があるので、適切な質問をしたり、補助して答えてくれたりするので、英語漬けになれる。(身に付きそうですがお高いですね!)

(4) 教師論
● 生徒の好きな先生の4条件:カナダの大学での調査
?明るい(笑顔)
?声が大きく、はっきりしている
?パフォーマンスができる
?誠意がある(一方的でなく生徒の立場で教えてくれる先生)
(なるほど、納得がいきますね)
● 生徒が授業が面白くない理由:カナダの大学での調査
?教師
?教科書
(反省しないといけないですね…)
● 阿部先生の考える「教師の2つの顔」:「ことばの教師」と「コミュニケーションの教師」の2つの顔を持って欲しい。コミュニケーションタイムでは、言語としての正確さより表現することに焦点を起き「I play 部活」と発言した生徒を許してあげる。「ことばの教師」としてはスポット的な指導、例えば「では私の後に発音をして下さい… club activitiesノ」のように、こまめに入れる(?このスポット的な指導が欠けているという指摘が阿部先生からありました。このご指摘は重要だと思います。)同じ時間内で切り替えることを4月の初めの段階で話しておくと、生徒も「コミュニケーションタイムだ!」とくつろいだ気持ちで取り組める。

(5) 文法
● I've gone to the library. という文を使う状況は…
 =書き置きで「図書館に(今)行っています」(もちろんその場には「私」はいない)
  (これまた、こういう現在完了が使えるといいと思いますね…)
● Go get two chalks. という文を使う状況は…
 =学校で「チョーク2本取ってきて」(普通の状況では、two pieces of chalk / some chalk のように原則通り「数えられない名詞」)
● had better「~したほうがよい」という表現を使う状況は…
 =聞き手に直接言うのはかなり強い表現。子どもに忠告「~したほうがよい」あるいは自己言及「~したほうがさそうだ」Iユd better go. / Iユd better be going. のように使うと考えるとよい。


■参加者から出された感想 参加者の感想には、郷里のお父さまが亡くなられた中、講演して
              くださった阿部先生への言葉が多く寄せられました。
・言語学習にはある程度の緊張感が必要であること、リズムで覚えることの大切さ、Questioningの技術力の重要性など、また空間的・社会的体験を通しての言語習得の大切さなどを学ぶことができました、とてもユニークな話術で楽しみながら拝聴することができました。1200語のプリントはぜひ手に入れたいと思います。Iユve gone to the library.の深い意味を知れて本当によかった。
・大学生に戻ったような気持ちになりました。もう一度原点に立ち返ることができました。大切な折、ありがとうございました。
・普段気づかずに教えていた所があり、反省させられました。これからの英語の授業に先生の講義から学びとったものを活かしていきたいと思います。ご不幸があった中、貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
・現場にいただけでは知り得ない新鮮な内容で勉強する意欲をかきたてられる充実した講演会でした。
・お忙しく大変な中、本当にありがとうございました。教師の心構え、ことばとコミュニケーションの関係のところが一番印象に残りました。コミュニケーションでどんな自分を伝え、何をめざすのかというところの、先生のお考えをもう少しうかがえたらとも思いました。
・大変興味深かった。具体的でわかりやすい講演だった。自分自身常に勉強して高めていかなければと思った。単語の感覚をつかむためにはどのような努力をすればいいのか、参考書などがあったら知りたい。基本1200語の表も欲しい。
・私も1つの単語や熟語を固定して教えすぎていたかなと反省。阿部先生の1200語を中心に英語を膨らませるという方法を「心の中にねかして」役立てていきたいと思います。
・単語・文法のとらえ方、それをgrowしていくことの大切さがよく分かりました。自分なりに表現や用法・文例などをデーターベースしていくこと、1200語ほどの必須単語の大切さなど、今後の参考にし
たいと思います。
・長く、単語から離れていたので気持ちを切り替えるのにたいへん助かりました。ことばは生きているし、一方通行なものではないだけに、学ぶ・身につけることは難しいですね。
・大変参考になりました。
・「ことば」「コミュニケーション」という2つの観点をバランスよ取り入れて教えていく方向を意識していきたいと思いました。もっと時間たっぷり、いろいろなサンプルも伺いたかったと思います。
・言語、コミュニケーションには解釈の広がりがあるという点を(場所・状況etc.)学びました。教授法をわかりやすく教えていただきました。
・「なぜ」に答える英文法の話で良かった。
・いつも自分が行っている授業の良い点、まずい点が少しわかったような気がします。しかしこれを直していくのはなかなか難しいと感じられます。資料にあったSample 2の例文(This is apple. / Go get two chalks. )など、よくAETの先生に「違っているのでは?」と質問しているタイプなので、少し目が開けました。
・私事で大変な状況がある中でりっぱに話をされていて感動しました。文法の押さえ方をcommunicative Competenceの内容とが、うまく話の内容として結びつけられていてわかりやすかったです。


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